整体の学校に通っていた頃、私の体はすこぶる調子が良かった。
整体の授業では生徒同士がお互いの体を揉んだり、ストレッチしたり、アジャストしたり、捻ったり、つねったり、かっちゃいたりする(後半はウソ)。
そしてその手技に対して感想を言い合ったりするのだが、私は体を揉まれたときに強く押されすぎて痛いと感じたことはしょっちゅうあったが、気持ち良いと感じたことはなかった。
おそらく当時は体をよく動かしていたし、きつい仕事をしていたわけでもないのでマッサージの必要のない体だったのだろう。
しかしである。
マッサージ店で働き始めたある時、それはやって来た。
腰痛である。
整体の学校でも施術を行うときの姿勢については教えてもらっていたのだが、あまり気にしていなかった。
どんな姿勢で施術をしても別にどうってことないだろうと高を括っていた。
だがマッサージ店で働き始め、一日に何人もの人を揉んでいるうちに少しずつ疲労が腰に蓄積していき、気がつくと腰痛持ちになっていたのだ。
その店には私とほぼ同じ位に働き始めた人がおり、その人も同じく腰につらさを感じていた。
そこで私達はお客さんが来ていないときにお互いの腰を揉み合うことにした。
そして私は実感したのだ。
マッサージのなんと気持ち良いこと。
整体の学校やマッサージ店のお客さんからよく聞かされていた痛気持ちいいとはこのことだったのか。
施術を行う際に、いかに自分の体に負担をかけずに行うかということはとても大切なことである。
そして、それは体を使って働くすべての人に当てはまることである。