整体を行うための基礎知識 続き 1

整体では立位姿勢の重心線をチェックします

 理想的な立位姿勢とは以下にあげる解剖学的指標が一直線に整列している場合をいいます。

 

 1)側方のバランス

    後頭隆起

    椎骨棘突起

    殿裂

    両膝関節内側の中心

    両内果間の中心

 

 2)前後方向のバランス

    耳垂のやや後方

    肩峰

    大転子

    膝関節前部(膝蓋骨後面)

    外果の前方5~6センチ

抗重力筋

 抗重力筋とは、重力に対抗して立位姿勢を保持する働きをする筋肉のことです。抗重力筋を大別すると

 

 身体の腹側:前脛骨筋、大体四頭筋、腹筋群、頸部屈筋群

 身体の背側:下腿三頭筋、ハムストリングス、大殿筋、脊柱起立筋

 

となります。通常の立位姿勢の保持には腹側の筋群よりも、背側の筋群のほうが相対的に重要な働きをしています。

 とくに、頸部伸筋群、脊柱起立筋、ハムストリングス、ヒラメ筋を主要姿勢筋群と呼んでいます。

 

 理想とされる正常な立位姿勢を保持するときの、主要な関節に関係する筋活動は以下のとおりです。

 

 1)足関節:重心線は足関節よりも前方を通り、身体は前へ倒れやすくなります。これに対抗するためにヒラメ筋が活動します。

 2)膝関節:重心線は膝関節中央のやや前方を通ります。重力のモーメントは膝伸展に作用するため、膝関節の固定には筋活動は特に必要としません。

 3)股関節:重心線は股関節の後方を通り、股関節の伸展に作用します。これに対抗するように腸腰筋が働いて股関節の過伸展を防ぎます。

 4)脊柱:重心線は第4腰椎のやや前部を通過するため、脊柱を前方へ曲げるように作用します。これに対抗するように脊柱起立筋群が活動します。

整体を行う前の歩行の確認

 歩行障害は運動器、神経・筋、中枢神経系のいずれの障害でも起こりえます。疾患の種類別に異常歩行パターンを以下に示します。

 

1)運動疾患による異常歩行

 1.脚長差:脚長差が3cm以上になると短い側の肩・骨盤が下がり、立脚相でつま先立ちとなります。長い側は遊脚相で股・膝・足関節が過度屈曲します。

 2.股関節拘縮:腰椎が後弯し、健側の振り出しがおお振りになります。

 3.膝関節拘縮:屈曲拘縮では脚長差がある場合と同様の異常が認められます。伸展拘縮では患側遊脚相で股関節に大きな分回し運動が起こります。

 4.足関節拘縮:尖足変形があると遊脚相で足を高く上げ、立脚相ではつま先から接地します。このような歩行を鶏状歩行といいます。

 

2)疼痛による異常歩行

 疼痛を避けるような歩行を逃避性歩行といいます。患側下肢はそっと着地し、体重が負荷される立脚相は時間が短くなります。

 閉塞性動脈硬化症や腰椎脊柱管狭窄症などでは歩いていると次第に下肢に痺れや痛みを感じ始めるのですが、しばらく休むと症状が軽減しまた普通に歩けるようになります。このように休み休み歩くことを間欠性跛行と呼びます。

 

3)末梢神経疾患による異常歩行

 1.大殿筋麻痺:立脚相で股関節が前方に折れ曲がるのを防止するために、患側が踵接地した直後に体幹と骨盤を後方に引く動作をします。

 2.中殿筋麻痺:患側の片足支持期では健側の骨盤が挙上できずに下方傾斜した状態になります。これをトレンでレンブルグ徴候といいます。歩行でこの現象が起こるとき、トレンデレンブルグ歩行といい、代償作用として頭部と体幹が患側に傾きます。

 3.大体四頭筋麻痺:患側が立脚相になるときに膝関節の屈曲を防ぐために大腿全面を手で押さえて歩行します。

 

 この他に進行性筋ジストロフィーなどの筋疾患による異常歩行や中枢神経疾患による異常歩行などがあります。