整体を行うための基礎知識 続き 2

整形外科や整体などで用いられる徒手検査法

 ここでは以下に代表的な徒手検査法を挙げていきます。

 

●脊柱部

 

1.Spurlingテスト(椎間孔圧迫テスト)

 頚椎部神経根圧迫症状の有無を鑑別します。

 患者の頸部を患側に側屈させ、検者は両手を頭頂部におき圧迫を加えます。健常者には疼痛は誘発されませんが、頚椎部に神経根圧迫が存在する場合には患側上肢に疼痛が誘発、増強または痺れ感が放散します。

 

2.ジャクソンテスト

 頚椎部神経根刺激症状の有無を鑑別します。

a.Head compressionテスト

 患者の頸部を側屈、前屈または後屈させて頭頂部に圧迫を加えます。健常者には疼痛は誘発されませんが、頚椎部に神経根圧迫が存在する場合には患側上肢に疼痛が誘発、増強または痺れ感が放散します。

b.Shoulder depressionテスト

 検者は一方の手で患者の頚椎を健側に側屈させ、他方の手を肩の上に置きその肩を引き下げます。頚椎部に神経根圧迫が存在する場合には患側上肢に疼痛が誘発、増強または痺れ感が放散します。

 

3.SLR(atraight leg raising)テスト(神経伸長検査)

 腰部椎間板ヘルニアの鑑別を行います。

 患者に背臥位になってもらい患肢の股関節を内・外転および内・外旋中間位にし、膝関節伸展位でゆっくり挙上します。腰部椎間板ヘルニアが存在している場合、坐骨神経に沿った疼痛が現れます。

 

4.FNS(femoral never stretch)テスト(神経伸長検査)

 上位腰椎椎間板ヘルニアの鑑別を行います。

 患者を腹臥位にし患側の下肢を引き上げて股関節を過伸展すると、大腿前面に疼痛が誘発されます。

 

●胸部・上肢部

 

1.アドソンテスト

 胸郭出口症候群の鑑別を行います。

 患者に頚椎を後屈した状態で右または左に回旋してもらいます。そして息を深く吸ったあと止めてもらいます。その際に橈骨動脈の拍動が消失するかをみます。

 

2.ライトテスト

 胸郭出口症候群の鑑別を行います。

 患者の肩関節を90°外転、90°外旋位にし、橈骨動脈の拍動が消失するかどうかをみます。拍動消失は過外転症候群陽性を意味します。

 

3.モーリーテスト

 胸郭出口症候群の鑑別を行います。

 胸鎖乳突筋鎖骨頭の外縁から1横指半から2横指分、外方にある前斜角筋を鎖骨上縁部で圧迫して、局所の疼痛と末梢への放散痛の有無を調べます。

 

4.エデンテスト(気を付け姿勢テスト)

 胸郭出口症候群の鑑別を行います。

 患者に胸を張り肩を後方に引いた姿勢をとってもらい、橈骨動脈の拍動を調べ、症状が現れるか増悪を感じた場合を陽性とします。

 

5.Drop arm sign

 肩腱板断裂の有無を鑑別します。

 患者の患側上肢を他動的に肩甲骨の平面上に90°外転させ、その肢位で支えを外します。肩腱板断裂がある場合、患者はその肢位を保持できず上肢は落下します。

 

6.Painful arc sign

 肩腱板断裂の有無を鑑別します。

 患者の患側上肢を他動的に肩甲骨の平面上に外転させていきます。外転60°~120°の間で疼痛が出現し、それ以外の領域では疼痛をまったく感じない徴候をPainful arc、または有痛弧といいます。

 

7.スピードテスト

 上腕二頭筋長頭腱炎症の鑑別を行います。

 患者に患側上肢の肘関節を伸展してもらい、前腕回外位で肩関節45°屈曲位からさらに肩関節を屈曲してもらいます。検者は屈曲運動に対して抵抗を加え、このとき結節間溝に疼痛が誘発されるものを陽性とします。