整体を行うための基礎知識 続き 3

マッサージの基本手技

1.軽擦法

 軽擦法は施術者の手掌や手指を患者の身体に密着させ、末梢から中枢に向かって平に撫で擦る方法です。これを行うことにより感覚神経が興奮し、皮下の血流量が増進します。その結果、皮膚に栄養が行き渡り、疼痛が緩解されます。

 軽擦法には、手掌軽擦法、四指軽擦法、母指軽擦法、二指軽擦法、指顆軽擦法、手根軽擦法などがあります。

 

2.強擦法

 強擦法は患者の皮膚上を滑らないように深部に向けて押し付けながら円を描きつつ移動していく方法です。この手技は関節部やその周辺の軟部組織、関節包や筋、腱、靭帯に障害がある場合に用いられることが多く、組織中に存在する病的産物を粉砕してリンパ系に送り出す作用を持っています。

 強擦法には母指強擦法、渦状強擦法、らせん強擦法、腱移動法などがあります。

 

3.揉捏法

 揉捏法は母指や四指、手掌部、手根部などを用い適度の圧を加え、輪状または線状に動かしながら揉む方法です。主に筋に作用させるものですが、皮膚や皮下組織にも影響を及ぼします。筋組織を絞って、その中にある病的産物を粉砕し、これをリンパ系に送り出し血液の循環を促して新しい血液を局所に送り込みます。

 揉捏法には手掌揉捏法、手根揉捏法、母指揉捏法、四指揉捏法、把握揉捏法、ろとう揉捏法、のこぎり状揉捏法などがあります。

 

4.叩打法

 叩打法は手や指などを用い、一定のリズムで体表面を叩く方法です。叩打法を軽く施すと組織の活力を高めますが、強く行うと強擦法と同じように病的産物を粉砕します。皮膚に施すと分泌腺、血管、皮下神経の末端に作用して血管の拡張を生じて温感を与えます。また分泌腺の機能を高め、敏感となった神経の鎮静、筋の興奮性を亢進させます。

 叩打法には手拳叩打法、合掌打法、拍打法、手背叩打法、環状叩打法、指頭叩打法、袋打法、横手、車手、突手などがあります。

 

5.振戦法

 振戦法は患者の脱力させた上肢や下肢の先端を持ち、細かく振り動かしたり、母指や四指の先端や手掌部などを体表面にあて、骨に向かって圧迫しつつ振動を与える方法です。

 振戦法には牽引振戦法、手掌振戦法、指端振戦法などがあります。

 

6.圧迫法

 圧迫法は母指や手掌、手根などを用い、漸増・漸減圧、持続圧、静止圧を垂直に加えながら押す方法です。種々の深部組織や臓器の病変に対応して現れる体表の特定部位の圧痛点・反応点に施術します。病変の治癒の促進や末梢部分の鎮痛を図ることができます。

 圧迫法には母指圧迫法、手掌圧迫法、手根圧迫法、把握圧迫法、四指圧迫法、二指圧迫法、肘頭部・前腕部・膝部を用いた圧迫法などがあります。

 

7.伸長法

 伸長法は主に上肢や下肢を他動的にゆっくり伸ばす方法で、スタティック・ストレッチングのことです。筋腱を伸長することによって筋紡錘の興奮を抑制し、関節可動域の拡大効果が期待できます。力は持続的、漸増的に加えていき、患部を急激に伸ばすなど乱暴な操作をしないよう注意して行うことが大切です。